【レポート】
Chelsea Academy vol.2
『明日死ぬとしても、今やってるそれを続けるのか?
〜真の学びが持つ力〜』 by 小林 晋平 氏 (東京学芸大学)

2015年12月6日 | | シェアツイート

【レポート】

Chelsea Academy 2015 vol.2

明日死ぬとしても、今やってるそれを続けるのか?
〜真の学びが持つ力〜  by 小林 晋平 氏 (東京学芸大学)

2015年12月5日(土)19時より、チェルシーアカデミー vol.2を開催しました。

チェルシーハウスでは、今まで様々な分野で活躍する社会人の方をお呼びして、
「チェルシーカフェ」というイベントを行ってきましたが、
「チェルシーアカデミー」は、それと別のシリーズとして大学の先生方をお迎えし、
学生たちが深く考えるような学びの時間を提供します。

今回のゲストは、前回の社会活動家・湯浅誠さんの回に引き続き、
寮生の1人が、普段大学で「師匠」と慕っているという、東京学芸大学の小林晋平先生です。

そんな小林先生の専門は、物理学

時間とはなんだろう?
空間とはなんだろう?
なぜ僕たちはここにいるのだろう?

先生が提起するのは、私たちがちゃんと立ち止まって考えたことのない、とてつもなく大きな問いばかり。

かつて“お笑い芸人を目指していた”という小林先生ならではの、
笑いあり、感動ありのエネルギーたっぷりの3時間のなかで、
学生たちはどんなことを感じたのでしょうか?
レポートをお届けします。

Chelsea Academy 2015 vol.2

明日死ぬとしても、今やってるそれを続けるのか?
〜真の学びが持つ力〜  by 小林 晋平 氏 (東京学芸大学)

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“物理は世界を見る方法であって,なぜ世界が美しいかを教えてくれるものである”

東京学芸大学 教育学部
自然科学系 基礎自然科学講座 物理科学分野 准教授 小林 晋平 氏

京都大学大学院人間・環境学研究科 重力・宇宙論研究室 博士号(人間・環境学)取得後、東京大学大学院理学系研究科附属ビッグバン宇宙国際研究センター研究機関研究員、日本学術振興会 海外特別研究員(Visting Posdoc at Perimeter Institute for Theoretical Physics and University of Waterloo, Canada)、群馬工業高等専門学校一般教科(自然科学)准教授を経て現職。前任校の群馬高専では、6年連続ベストティーチャーに選ばれた。

 

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寮生・寮生の友人・来春入寮予定の学生の20名余りが参加

まず最初に先生が話してくださったのは、「僕はどうして物理学者になったのか」。
小学校時代から、半生を振り返り語ってくださいました。

先生が、今の物理学者の道に通じるきっかけとなったのは、なんと小学校時代にはまった「ドラえもん」。
四次元ポケットやタイムマシンを見て、時間とは何か、空間とは何か、僕らはなぜここにいるのか、を疑問に思ったそうです。

最初は、哲学者になるのが夢でしたが、その後小学校の理科の先生に、それは科学で解き明かしていく分野だと言われたことで、科学の道へ。

中学、高校、予備校、大学、大学院、カナダでの研究員時代と、先生の話は続いていきます。
話のなかに終始ボケがはさまれ、会場はドッカンドッカンの大盛り上がり。

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まるで漫談のような小林先生のお話に、会場は終始笑いが絶えない

小林先生曰く、科学者のいいところは、「一生子どもの心を持ち続けさせてもらえるところ」。

研究者は、解けない謎に立ち向かうばかりで、毎日が敗北なんだそうです。
しかし、ときどき発見があれば嬉しく感じるし、
ふと、「小さい頃これがやりたかったんだ。夢が叶っている。」という思いが、胸のなかにこみあがってくるんだそうです。

なんだかこれだけで聞いたかいのあるお話ですが、徐々に宇宙や物理の話に入っていきます。

ここでも登場するのはやはり「ドラえもん」。
ビッグバンをタイムマシンに、ブラックホールは4次元ポケット、次元についてはどこでもドアにたとえることができると言うと、学生からは驚きと笑いの声。

では実際研究者は、どうやって宇宙の謎に迫っているのか。
それが「物理」であり、その基本である「力」の考え方
目に見えないものだし、かつてここで物理に挫折した学生も多いかもしれません。

高校の力学は先生たちにとってもつまらないものだそうですが、
各自に紙が配られ、早速物理のクイズが始まりました。

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解説する小林先生

その後は、だんだんと難しい問題に挑戦。
中学・高校数学では答えられない問題に、実験で答えを導き出します。

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シャボン液の表面張力を利用して「4点を結ぶ線の合計が最短な点」を導く実験の様子

チェルシーハウスで「実験」を行うのは今日が初めて。
比較的文系の学生が多いチェルシーハウスですが、みんな子どものように食い入るような目をして実験に加わっていました。

続いて、月と地球との距離を、一番最初に突き止めたのはいつ?との質問。

答えは、なんと紀元前250年頃。古代ギリシャの時代だそうです。
当時の科学者は、月の大きさ、地球の大きさ、月と地球との距離を、水平線の向こうで船が沈む様子や井戸への光の当たり方など、さまざまな実体験と数学の知識から導いていきました。
少しの誤差はあるものの、これらはほぼ正確な値なんだそうです。

難しくてとらえどころがないと思ってしまいがちな、物理や宇宙の世界。

科学者たちは、自然が好きという気持ちや、美しいと思う気持ちに対して、正直に疑問を持つことから研究を始めるそうです。
これが科学なんです」と小林先生が強調すると、学生からは「おお…」という感嘆と頷きの声が上がっていました。

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宇宙が一点に縮むと爆発することを示す実験の様子

また、小林先生は、「ただの物理屋」ではなく、「学びとは何か」を伝える教育者でもありたい、という思いを強く持っていらっしゃる方でもあります。

覚えることは重要?
わからないことはいけない?
難しいことをただ楽しんではいけない?

こんな問いを学生たちに投げかけてくださいました。

どうして人は学ぶのか?」の問いのもとで、学校教育はどうあるべきなのか
それを考え続ける小林先生だからこそ、学生の心をつかむ、情熱とユーモアあふれる授業ができるのかもしれません。

 

最後に、先生からのメッセージです。

宇宙は 君たちが成長した分だけ大きくなる

世界は 君たちが成長した分だけ大きくなる

「世界はつくってしまえばいい、それだけのことです。

何かに躊躇してやってないことがあるならば、もし明日死ぬとしても、今やってるそれを続けるつもりですか?と考えてほしい。

踏み出させない自分がいるのはなぜなのか、歯止めになっているものは何なのか。
とりあえずやってみる、ことをおすすめします。

なぜ君たちは自分自身なのか?それは、人との関係性で決まるんです。
自分を知りたければ、外に出るしかないんです。

とりあえず、外とつながってみる。
そこで人との摩擦を味わって、ゴリゴリと世界をみてみてください。」

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時を忘れるほどあっというまの3時間

イベント終了後にも、次々と学生から質問の嵐。

「宇宙が膨張しているとしたら、壁はあるんですか?どんな形をしているんですか?」
「光の速さってどうやって計ったんですか?」
「先生は、どうしてそんなに話がうまくなったんですか?」
「大学で学ぶ意義ってなんですか?」

小林先生は一つ一つ熱を込めて答えてくださいました。

先生を大学で「師匠」と慕い、今回この企画を準備した寮生からは、
先生の凄さを寮生に伝えることができて、感激しています!」とのコメントをもらいました。

 

参加した学生の声

・先生のような人に学生時代に会っていると、冗談抜きで物理の世界に進んでいたのかなと考えてしまうほど素敵な時間でした。(武蔵野美術大学1年・男子)

・理系の道に進む者として、大学で学問を究めている者として、何か答えが見えた気がしました。(東京農工大学1年・男子)

・学問っておもしろいということを、教育の場で伝えられたら、世界も変わってくるのかなとワクワクしました。(明治大学3年・女子)

小林先生、お忙しいなかご登壇いただき、そして知的な刺激と笑いと感動を届けてくださって、本当にありがとうございました。

またぜひ遊びにいらしてくださいね!