多様性を受け入れ自分を知り、ボランティアをしながら世界を旅する道へ

寮生国際基督教大学3年 三谷さん

コロナ禍の2020年夏、チェルシーハウス国分寺(以下、チェルシーハウス)に入寮した、国際基督教大学3年生の三谷さん。

チェルシーハウスで過ごした日々は、三谷さんの人生にどのような影響を与えたのでしょうか。

チェルシーハウスに入寮した理由や、入寮後に感じたこと、ご自身に起こった変化についてうかがいました。

「いろいろな人がいて当たり前だよね」

── チェルシーハウスに入寮した理由を教えてください。

元々大学の寮に入りたかったのですが、手続きの関係で入寮できなかったので、近くの寮を探したのがきっかけです。

在寮の管理人さんがおらず、門限などもないという自由さと、寮生同士の交流が盛んなことに惹かれました。

 

── 三谷さんが大学に入学された時は、もうコロナ禍でしたよね。その影響もありましたか?

はい。1年生の最初の学期はオンライン授業だったので、地元の長野県から受講していました。

せっかく東京に出るなら絶対に友達をつくりたかったので、1年生の夏頃にチェルシーハウスに入寮しました。

 

── 実際に入寮して、感じたことをお聞かせください。

入寮前に求めていたこととのギャップとしては、思ったより人間関係を深めることができなかったな、ということが挙げられます。

入寮前は、相部屋の子や他の寮生と人生について語り合ったりするのかな……みたいなことを想像していたのですが、あまりそういうことは起きませんでした。

自分があまり寮生の輪に自ら入っていくタイプではなかったので、それが関係しているかなと、今となっては思います。

 

── 積極的に輪に入っていかないと浮いてしまう……! みたいな焦りはなかったですか?

それは全然ないです。
毎日のようにリビングでおしゃべりする人もいれば、部屋から出てこない人もいますし。

「いろいろな人がいて当たり前だよね」みたいな雰囲気で、多様性を当然のこととして受け入れている人が多いのかなと思います。

もっと交流しなきゃとか、そういう義務感みたいなものを感じることはないですね。

全寮生参加のミーティング「チェルシーナイト」

── チェルシーハウスで生活する中で、困ったことや気になったことはありましたか?

そうですね、掃除があんまり得意じゃない人が多くて(笑)。カップラーメンのゴミとか、ビールの空き缶が共同スペースに転がっているとか。

── そこはきちんとしてほしいところですね(笑)。
── そういう問題が起こったときは、どうやって解決するんですか?

今日(インタビュー当日)ちょうど「チェルシーナイト」というイベントがあって、最近マナーが悪いからちょっとみんなで見直そうよ、みたいな話をしようとしているようですね。

普段は部屋にこもって出てこない人も含めた、全寮生参加のミーティングみたいな感じです。

普段あんまり喋らない人とも半強制的に話せるので、こういう人が住んでたんだみたいな発見もあるし、普段はなかなか言えなかったことも発言しやすいので、結構楽しみなイベントなんです。

今は年1回になってしまっているんですけど、個人的にはもっとあったらいいなと思うので、今後の寮生に期待です。

── 問題が起きても、寮生同士で話し合う場を作って解決していくのですね。

 

今までの人間関係にはない特別な関係

── 相部屋を選ばれたとのことですが、実際に住んでみていかがでしたか?

相部屋を選んでとても良かったと思います。

相部屋のおかげで気づけたこともたくさんあったし、相部屋というある意味特別な人間関係を作れたのは、とても大きかったです。

2人目の相部屋※が美大生だったのですが、ここに来なければ出会わなかったであろう美大生との生活はいろいろな意味でとても面白かったです。

(※相部屋の入寮者は、入退去の兼ね合いで1年毎に変わることがあります。)

 

── 同室の方とはどのような会話をされるのですか?

私たちの部屋は、会話量は少ない方だと思います。私と同室の子は普段リビングとかだとよく喋るタイプなのですが、部屋では自分の世界に入りたいタイプだと本人も言っていて。

私も部屋で喋りたいタイプではないので、そこの相性がすごく良かったです。部屋で過ごす時間がとても快適で、相部屋が彼女とで良かったなってすごく思っています。

 

── 同室の方は、三谷さんにとってどんな存在ですか?

同室の子とも、相部屋の相手って今までの人間関係にはない特別な関係だよね、みたいな話をよくするんです。

家族ほど親密でもなければ、友達ほど仲良しというわけでもないけど、一緒にいて安心できる。姉妹関係が一番近いのかなと思います。

彼氏の話はちょっと照れくさくてできないけど、同じ部屋にいて全然違和感がないところとか。チェルシーハウスを出た後も間違いなく交流していきます。お互い結婚式には絶対呼び合おうみたいな関係です。

いろいろな可能性に気づかせてくれる場

── この12月(2022)年から1年間休学されるとうかがいました。これからやってみたいことを聞かせてください。

休学中はボランティアをしながら世界を旅して回ろうと思っています。

 

── その決断をするにあたって、チェルシーハウスの存在に後押しされたということはありますか?

チェルシーハウスは、休学する人が多いんです。
休学するのも選択肢のひとつだよね、みたいな雰囲気があるので、そこに後押しされたというのはとてもあります。
大学を中退して起業した人もいれば、休学して資格を取るために勉強する人も、留学する人もいる。
いろいろな可能性があるんだなと気づかせてくれます。

 

── ちなみに、参加予定のボランティアプログラムを知ったのも、チェルシーハウスの寮生がきっかけなんですね。

自分の労働力を提供する代わりにボランティア期間中の食事と住居は担保されるよ、みたいなワークキャンプが世界各地にあって、それをまとめている国際ボランティアNGOがあるんです。

その中のあるプログラムを、チェルシーハウスの寮生に教えてもらいました。
休学期間に何をしようかと迷っていた時期に、ひょんなことから国際ボランティアNGOに繋がりのある寮生を見つけまして。その子に声をかけたら、ワークキャンプに参加した時の話を聞くことができたんです。それで、「めっちゃいいじゃん!」と思って参加を決めました。

── チェルシーハウスだからこそ掴めたきっかけですね! いろいろな人がいて、すぐに繋がれる環境だからこそ可能性が広がります。

自分が心地よいと感じる、人との付き合い方を知る

── チェルシーハウスで2年半の月日を過ごして、ご自身に変化はありましたか?

これは自分自身に関する気づきなのですが、自分は大勢でワイワイ騒ぐのがあまり得意ではないんだな、と気づかせてくれたのがチェルシーハウスでした。

飲み会や、複数人でリビングでおしゃべり……みたいなことが頻繁に起こるのですが、私はそういう場にはあまり参加できませんでした。

ただ2〜3人でじっくり話すのは好きで、自分にとって会話が心地よい人数を知れたことは今後にも生きてくるんじゃないかと思います。

 

── どんな人にチェルシーハウスをすすめたいと思いますか?

コロナ禍で一人暮らしをしていて、友人関係が築けなくて悶々としている人とか、本当はもっと友達を作りたいけど、シャイな性格で自分から人に話しかけるのが苦手な人とか。

チェルシーハウスに来ると仲間が強制的に増えるので良いかなと思います。

── ありがとうございました!

(取材・文/松尾しのぶ)