チェルシーハウス国分寺(以下、チェルシーハウス)に住まうチェルシーのくのいちさんは、武蔵野美術大学でアートを学ぶ1年生です。
環境の変化に戸惑いながらも、チェルシーハウスの寮生の優しさに支えられながら過ごした1年。 日常のささいな挨拶や声かけが、やがては大きな繋がりを生むことを学んだと彼女は語ります。
チェルシーハウスで得た学びや、ご自身に起こった変化についてお話をうかがいました。
「絶対安心できる」と思い入寮を決めた
── チェルシーハウスに入寮した理由を教えてください。
地方から上京するにあたっていきなり一人暮らしは不安だったので、武蔵野美術大学(以下、武蔵美)周辺でシェアハウスを探していたんです。
チェルシーハウスは武蔵美に近くて、在学生も住んでいると書かれていたので、「絶対安心できる!」と思い入寮を決めました。
色んな学校の人の生き方や考え方を知りたかったから、という理由もあります。
── 実際に入寮して、感じたことをお聞かせください。
寮生同士の距離感は“マンションの隣人”くらいなのかな? と思っていたのですが、全く違っていてとても近かったです。
リビングにいると、話したことがない人が「元気?」みたいに声をかけてくれて、そんな感じなんだ! とびっくりしました。
そして優しい人ばかりです。
── どんな時に、寮生の優しさを感じましたか?
入寮して間もない頃は、環境の変化に追いつけずにずっと泣いていました。 チェルシーハウスの新入生歓迎会も欠席するくらい辛かったんです。
でも色々な人が元気付けようと声をかけてくれたり、面白いことを言って笑わせようとしてくれたりする人もいて、なんていい人たちなんだろうと思いました。
── 心から新入生を歓迎しようという想いを感じますね。
同時期に入寮した子も泣いている私にお水を買ってきてくれたり、一緒に何か食べようと誘ってくれたりして。
あの時のみんなの支えがなかったら、今私はチェルシーハウスに住めていなかったかも、と思います。
毎日のささいな挨拶や声かけが大きな繋がりを生む
── 寮生とは普段どのような交流をすることが多いですか?
毎日使う洗面所など、自然と人が集まる共有スペースで交流することが多いです。
歯を磨きながら「元気?」って声をかけたり、シャワールームで髪を乾かしながら雑談したり、色々な人と満遍なくコミュニケーションが取れていると思います。
こういった毎日のささいな挨拶や声かけが、大きな繋がりを生むということを学びました。
── 毎日の挨拶や声かけ、大切ですよね。具体的に、繋がりを感じた時のことを聞かせてください。
この人ちょっときついのかな? と感じる先輩がいたのですが、挨拶を重ねるうちに世間話をするようになりました。
話していると、物腰も柔らかくて、色々なことをされていて、その先輩のことをとても面白い人だなと感じることが何度もあって。
年上だからと意識してしまうこともありますが、ちゃんと話して相手のことを知ることができてよかったなと思います。
運動会やイベントで協力プレイを楽しむ
── 印象に残っているイベントなどはありますか?
行事に驚きました。運動会するんだ! って。
リレーをしたり、組体操をしたり、劇をしたり、楽しかったです。
入寮して半年ほどの間は緊張もあってイベントに全然出ていなくて、初めてちゃんと参加したのが運動会だったんです。
今ではもうちょっと早く出ておけば良かったなと思います。
── 旅行に参加された時のことを聞かせてください。
寮生15人で草津温泉に行って、1日目は温泉で、2日目は廃校になった小学校に宿泊してカレー作り対決をしました。
校内に隠されたカレーの具材を入れた封筒を探し回って、中に入っていた具材を使ってカレーを作るという企画で、私たちの班は12枚くらい見つけたのですが、7枚が外れで残りがラムネ(笑)。
それでもみんなで一生懸命美味しいものを作ろうとする、協力プレイができて楽しかったです。
── みんなで楽しめることを寮生が企画して、全力で遊ぶ。チェルシーハウスならではの経験ですね!
年上の人にも適度にフランクであるべき
── 入寮して学べたことはありますか?
先ほどの毎日の挨拶や声かけの話にも繋がるのですが、年上の人にも適度にフランクであるべきということを学びました。
声を掛けてみないと分からないことだらけだということも。
── 年上の人にも適度にフランクに接するコツを教えてください。
大学生だから通用するのかなというものと、社会に出てからも有効なものとは分かれているのですが、踏み込んだ話のバランスを意識しています。
自分が聞かれて嫌じゃないことは割と相手にも聞いてしまいます。
あと、愛嬌も振りまけるようになった気がします(笑)。
── 愛嬌、大事ですね!(笑)
例えば誰かがキッチンでご飯を作っている時に、「何作ってるんですか?」と聞くだけでも話は広がると思っていて。
まず相手のことを聞く。“相手のことが知りたいですよ”ということを、さりげなく伝えることが大事だと考えています。
これはチェルシーハウスで生活する中で培われた能力だと感じています。
── 社会に出て人脈を広げていくために、必要なスキルをチェルシーハウスで学ぶことができたのですね。
はい。チェルシーハウスで学んだコミュニケーションのとり方で、人脈を広げて濃度の高い、良い意味で普通じゃない人生を築きあげていきたいです。
寮生の言葉で自分の作品に自信を持てるようになった
── 入寮して、ご自身に何か変化はありましたか?
電子音楽を作ったり絵を描いたりといった活動を高校生の頃から続けているのですが、当時から自分の創作物を発表することにすごく不安を感じていました。
酷評されたら嫌だなって。
── 美大に通っていると、講評(創作物に対して指導的な立場から批評を加えること)もありますよね。
はい。先生から「(あなたの作品は)カッコつけすぎだね」という講評を受けた時、「意味がわからない」と言われているように感じてしまって、落ち込んで帰宅することもありました。
その時は自信を無くしてしまって寮生に話を聞いてもらったのですが、その人が「俺はお前の作るものをめっちゃ面白いと思ってるから」と言ってくれたんです。
その言葉を聞いてずっと作り続けようと思いましたし、自分の作るものに自信を持てるようになりました。
── そんなあたたかい言葉をかけあえる関係性が築かれているのですね。
はい。家族に「あんた自信持ちなよ」って言ってもらう感覚とちょっと似ています。
それに、一緒に住んでいて自分の人間性を知ってくれているからこそ、見せられるものもたくさんあると思います。
暮らしの中の一言一言が記憶に残る場所
── チェルシーのくのいちさんにとって、チェルシーハウスは一言で表すとどのような場所ですか?
「覚える」でしょうか。 暮らしの中の一言一言が記憶に残っていく感じです。
1日を適当に生きていてもその日言われた言葉がずっと継続される、とんでもないところだと思っています(笑)。
── どんな人にチェルシーハウスをすすめたいですか?
私自身も優柔不断なのですが、自分が優柔不断で困っている人にこそ入ってほしいです。
迷っていたら「1回やってみよう!」と誰かが言ってくれるので、一歩を踏み出せるようになります。
── 最後に、入居を検討中の方に一言お願いします!
1回やってみよう!(笑)
── ありがとうございました!
(取材・文/松尾しのぶ)