チェルシーハウス国分寺を運営する、NPO法人LEGIKA理事長インタビュー第一弾

関係者LEGIKA理事長 小崎文恵

チェルシーハウス国分寺を運営する、NPO法人LEGIKAの理事長へのインタビューをお届けします。

日本の若者の可能性をもっと引き出せる場を作りたい、という思いで始めた教育寮「チェルシーハウス。教育寮とは何なのか、なぜ今の時代に必要なのか?」その思いを語ってもらいます。

小崎文恵
NPO法人LEGIKA理事長
チェルシーハウスプロジェクトマネジャー

14年のチェルシーハウス国分寺設立直後からプロジェクトに参画。
以来150を超える寮生と関わり、新たな時代を生き抜く力を育むコミュニティとしての「教育寮」の在り方を追求している。


チェルシーハウスとは

寮母常駐なし、規則なし、食事なし。

多種多様なバックグラウンドを持つ寮生が暮らすチェルシーハウス国分寺は、学生が生活しながら学べる教育寮として設立して丸6年を迎えます。

海外のボーディングスクールやアイビーリーグの学生寮のように、24時間生活をしながら学び合える場にしたい。
日本の若者の可能性をもっと引き出せる場を作りたい。

そんな思いで設立した当初こそ学生寮業界の中では異端だった私たちでしたが、今や取り巻く環境は大きく変わり、「教育寮」というコンセプトに賛同いただきお声をかけて頂く機会が多くなりました。
ただし、チェルシーハウスには特別なプログラムや研修制度があるわけではありません。

私たちが大切にしていることは「生活の中での学び」です。

チェルシーハウスの寮生は多種多様です。
美術を学ぶ人、哲学を学ぶ人、世界を旅する人、ビジネスを起業したいと考える人、、、自分の全く興味のないことに没頭している人がたくさんいます。
これまでの自分の友人にはいない人たち、そして社会に出てからは会うことがない人たちと同じ「学生」「寮生」という関係性で生活を共にすることになります。

また、チェルシーハウスでの生活は、リアルのぶつかり合いです。

朝起きて、夜眠るまで家族ではない他人との生活。生活習慣も違えば、快不快の感覚も違う。当然いろんな不満や葛藤が生まれます。

学校やSNS上であれば、無視したり距離を置くこともできますが、住まいであり生活ですから、逃げることはできません。

また、常駐の寮母や管理人がいないという環境は、「誰かがやってくれる」という考えが許されず、何かを見つけたら、「自分ごと」として動くということが強く求められます。

1人ひとりが解決に向けて対話を重ね相手を知り、お互いの納得できるように折り合いをつけていく。めんどくさくて、大変です。

しかしながら、この葛藤と解決の連続の中から、今まで知らなかった自分の個性を知り、自分と違う個性を持つ人との考えを知り認め、付き合い方を身につけていくことができるのです。

チェルシーハウス 日常

2020年教育改革をはじめ、各所でこれからの時代に必要となる力について議論がなされていますが、ダイバーシティ化が進み、様々な価値観や背景をもつ人と関わる機会も増えていく中で、この自他を認め物事を進める力は確実に重要になってくるはずです。

そして、この力は間違いなくリアルの場でしか育まれないものだと考えています。

なぜいま、教育寮なのか

ダイバーシティ化と言われる一方で、子供を取り巻く環境は少し逆行しているように感じます。

昔に比べて核家族化は進み、兄弟姉妹も少なくなりました。地域社会との接点も減って、色んな人に怒られたり、我慢をする経験も減ってきているかもしれません。

小中高と進むにつれて自然と趣味や志向の合う友達で固まり、大学では専攻ごとに学ぶなど、ともすると同質化された居心地の良いコミュニティの中で過ごすことに慣れてしまいます。

けれど社会に出るとそうはいきません。会社にも、取引先にも顧客にも意見や価値観の違う人はたくさんいます。

そこで初めて、カルチャーショックを受けたり、うまくコミュニケーションが取れずに悩んでしまうという話をよく聞きます。

しかしながら、今後グローバル化が進む中で、価値観の幅はより広がります。

だからこそ、敢えて社会に出る前の貴重な時間に否が応でも人の中で揉まれ、多様性の中で生き抜く力をつけておくということが必要なのではないでしょうか?

チェルシーハウス フリースペース

共同生活の中でつける圧倒的なコミュニケーション力、そしてじっくり付き合ってお互いを理解しあった生涯続く同じ釜の飯を食う仲間を得られるということが、チェルシーハウスの大きな価値なのだと考えています。

設立6年を迎えても、まだまだ試行錯誤は続きます。

さらに一人でも多くの学生の可能性が広がるきっかけになる場となるよう、見守り運営していきたいと思っています。

チェルシーハウスでは
入寮生を募集しています。

国分寺にあるチェルシーハウスでは、中央線沿いの学校を中心に20以上の大学・40名以上の男女が暮らしています。

広い共有スペースを活かし、寮生による企画なども活発に行われています。

自主性に根差した仲間たちとの深い関わり合いの中で、
学校では教えてくれない沢山の大切なことを学ぶことができます。