日常の全てが糧になる!マンガ家志望者がチェルシーハウスを選んだ理由

卒寮生鹿児島大学4年 橋口さん

マンガ家を目指し、トキワ荘プロジェクト※ に参加していた橋口さん。大学を休学して上京し、シェアハウス型学生寮・チェルシーハウス国分寺(以下、CH)で約2年半の共同生活を送りました。 

マンガ制作は孤独な作業になりがちです。自分の内面と向き合い続ける時間は必要である一方で、視野が狭くなったり、行き詰まりを感じたりすることも少なくありません。 

そのような中で橋口さんは、あえて多様な学生が集まるシェアハウスという環境を選び、在寮中にはデビュー賞を受賞。マンガ家デビューを果たしたり、テレビ番組のイラストの仕事を担当されたりと活躍されました。 

共同生活の中で得た経験は、マンガ制作や人生にどのように影響を与えたのでしょうか。お話を聞きました。 

トキワ荘プロジェクトとは?

マンガ家を目指すクリエイターが集まり、共同生活を送りながらマンガ制作に打ち込む場です。参加者同士が刺激を受け合い、多くのプロマンガ家もここから生まれています。プロジェクト詳細はこちら

上京、そしてマンガ制作に専念するための選択 

———CH入寮した理由を教えてください。

マンガ制作に専念するため大学を休学し、上京を決めました。トキワ荘プロジェクトに参加する中で、居住者全員が学生であるCHをご紹介いただきました賃料の手頃さに加え、設備がきれいで安心して生活できそうだと感じたことが、入寮の決め手です。 

もともと上京してみたいという気持ちもありましたし、地元ではマンガ家志望の友人ができなかったことも大きかったです。大学生のうちに挑戦した方がいいと思い、思い切って行動しました。 

あえて「同じ志の人ばかりではない環境へ 

———トキワ荘プロジェクトがある中で、CHでの生活はいかがでしたか? 

結果的に、CHに入って本当によかったと感じています。寮生は同年代の学生が中心で、マンガを描いている人ばかりではありません。むしろ、まったく違う分野に興味を持っている人が多く、その視点の違いがとても面白かったです。 

たとえば映画の感想ひとつをとっても、自分はストーリー構成に注目するのに対し、理系の人は科学的な描写に注目したり、美大の人は画面構成やデザインの話をしたり、語学に興味がある人は翻訳のニュアンスについて考えていたりと、本当に多角的な意見が出てきます。 

同じ作品でも、こんなに見え方が違うのかと驚きましたし、それがそのまま刺激になりました。 

———多様な人が集まる環境だからこそ、得られる経験ですね。

共同生活だからこそ見える「人間らしさ」

———CHでの生活の雰囲気について教えてください。

最初は、みんなすごくしっかりしていて「完璧な人たちだな」という印象を持ちました。 

ただ、一緒に生活していく中で少しずつその印象は変わっていきます。キッチンの使い方や日常の何気ない行動から、その人の性格や価値観が見えてくるんです。

たとえば、すごくきちんとしていそうな人が、意外とこだわりが強かったり、逆にラフに見える人がとても懐の広い考え方を持っていたり。そうしたギャップに触れることで、「人は一面だけではない」という実感が強くなりました。 

———学校や職場のように、ある一面しか見えない関係ではなく、生活を共にするからこそ見えてくる「人間らしさ」がCHの特徴ですね。キャラクター造形など、マンガ制作にも活かせそうです。

人との関わりが、自分自身を変えていく

———CHでの生活を通して、ご自身に変化はありましたか?

かなり変わりました。もともと内向的で、人と話すのもあまり得意ではありませんでした。考えも自分の中に閉じこもりがちで、少し極端な方向に寄っていた部分もあったと思います。 

ただ、共同生活の中で自然と人と関わるようになり、少しずつ外に意識が向くようになりました。いろいろな人の価値観に触れることで、「自分はどう考えるのか」を客観的に見られるようになったのも大きな変化です。 

———寮生の仲間に助けられたと感じたことはありますか?

はい、生活面でも変化がありました。私は時間管理が苦手だったのですが、CHの友人がカレンダーを共有してくれたり、スケジュールを一緒に整理してくれたりしたことで、少しずつ改善していきました。 

自分一人では難しかったことが、人との関わりの中でできるようになった感覚があります。 

一人では得られない経験が次のチャンスを生んだ

———CHではイベントなどにも参加されていたと伺いましたが、印象に残っている経験はありますか? 

地域の方を招いて行う「来て!チェルシーに!」という文化祭のようなイベントに関わりました。クラウドファンディングのページ制作やポスティング、当日は似顔絵を描いたりと、いろいろな形で参加していました。 

———実際にやってみて、いかがでしたか?

似顔絵を描いて、目の前の人が喜んでくれるのを直接見られたのは新鮮でしたね。 

また、このイベントで似顔絵を描いている様子を見たCHの友人が、仕事につなげてくれたこともありました。自分一人では絶対に経験できなかったことばかりで、とても面白い体験でした。 

共同生活だからこそ生まれるマンガ制作とモチベーション

———CHでの生活は、マンガ制作にどのような影響を与えましたか 

一番大きいのは、ネタの幅が広がったことです。人との会話や日常の出来事の中に、マンガ制作のヒントがたくさんあることに気づきました。キャラクターの造形にも影響していますし、背景にCHの近所の景色を使ったこともあります。 

また、寮生の存在を意識して作品を描くようになったのも大きな変化です。「この人が好きそうな作品」を想定することで、マンガ制作が自分のためだけでなく、誰かに届けるものに変わりました。プレゼントのような感覚で描けるようになったことで、モチベーションも上がりました。 

———誰に届けるかを意識することで、作品の方向性もより明確になりそうですね。

はい。それに、周りに応援してくれる人がいることで、「ちゃんと描こう」という気持ちにもつながっています。 

また、作品の感想をすぐにもらえたり、「これ面白いよ」とおすすめを教えてもらえたりするので、インプットの質も量も自然と増えていきました。 

卒業後も連絡を取り合っていて、作品について意見を交換できる関係が続いているのも大きいです。 

CHという環境が持つ意味 

———仮にCHに住んでいなかったら、今の自分はどうなっていたと思いますか?

内にこもったままだったと思います。CHで人と関わることで気持ちが明るくなり、考え方も柔軟になりました。マンガ制作においても、人との関係があったからこそ生まれた発想が多いと感じています。 

単に「住む場所」というだけでなく、自分自身を変えるきっかけになった場所だと思います。 

———CHでの生活は、どんな人におすすめですか?

人と関わることが苦手な人にこそ、おすすめできると思います。共同生活なので自然と関わることになり、その中で自分も変わっていける環境だからです。 

あとは、マンガ制作のネタに悩んでいる人や、いろいろな価値観に触れたい人にも向いていると思います。実際の大学生の感覚や興味を知れるのも大きなメリットです。 

———橋口さんの、今後の目標をお聞かせください。 

現在は休学していた地元の大学に復学し、卒業を目指しています。その上で、マンガで連載を持つこと、そして東京で生活することが今後の目標です。 

東京での生活は本当に楽しく、CHで出会った友人は一生ものだと感じています。そうしたつながりをこれからも大切にしていくためにも、まずは卒業と仕事をしっかり形にしていきたいと考えています。 

———多様な人と暮らすことで、人を知り、自分を知る。その積み重ねがマンガ制作にも影響していることが、よく伝わってきましたありがとうございました! 

(取材・文/松尾しのぶ)