こんな時代だからこそ、学生が安心して学生でいられる場所を創りたい。元ボードゲームカフェの店長が目指す教育学生寮の未来像とは?

2019年6月20日 | | シェアツイート

2014年に東京国分寺にシェアハウス型学生寮として誕生した「チェルシーハウス国分寺」。今春から新しくコミュニティ運営の舵取りを担う担当者に就任した渡部嘉章氏(以下、渡部さん)に、前職のボードゲームカフェでのキャリアにも触れながら、コミュニティが若者に対してどんな価値を提供できるかということや、これからチェルシーハウスという場所でどのようなことをやっていきたいかという構想について語ってもらった。

肩書や所属に関係なく、人と人が出会って繋がる場所を作りたい

― 渡部さんはこれまでどのようなことをされてきたのでしょうか

チェルシーハウスに出会う前は国分寺でボードゲームカフェの店長をやっていました。ボードゲームカフェで働いていたと言った時によく誤解されるのですが、自分はボードゲームが大好き!とかマニアという訳ではありません。「ボードゲームを通したコミュニケーション」に魅力を感じています。お店を始めるにあたり、幸いなことに出資してくださる方がいたので、場所や内装も含めて全て自分で考えてお店を立ち上げました。

―なぜボードゲームカフェを立ち上げようと思ったのですか

学生時代からずっとコミュニケーションというものに興味があったのですが、社会人になると、肩書や所属などに捉われず、人と人が出会って繋がる場所があまり無いなと感じていて、それだったら自分で作ろうと思って。

そしてそこに遊ぶ仕掛けとしてボードゲームというものがあったら良いんじゃないかなと思いました。ボードゲームというきっかけさえあれば、名前を名乗らなくても自然とその場で会話が生まれていくような、そんなコミュニケーションが生まれる装置としてボードゲームに着目して、学生や社会人など属性に全く関係のない人たちに相席してもらって遊ぶ空間を作っていました。

 

― ボードゲームカフェを経営した後、なぜチェルシーハウスに関わろうと思ったのでしょうか

ボードゲームカフェから離れた後に、色んな選択肢があるなかで、やはり1対1のコミュニケーションと、その先にある場作りや、コミュニティづくりということに興味が出てきました。特にお店の運営を通して場所や空間というものが持っている力に惹かれて、次に取り組むならコミュニティづくりというものに携わりたいなと思った頃にチェルシーハウスと出会いました。

就職サイトで色々コミュニティづくりに関連する求人を見ていた時に、チェルシーハウスの担当者を募集している求人を知って、ひとまず話を聞きに行きました。その時はまだ自分が次に何をしたいのかということは言語化されていなくて、場所は作りたいけど、どういう場所を作りたいのかということがはっきりしていませんでした。ただNEWVERY(注1)のオフィスで理事長と話している間に、なにかこう誰かの背中を後押しできるような場所を作りたいなと思っていることに気付いたんです。

 

―面接を通して自己内省して気付いたのですか?それは凄いですね!

そうですね笑

まさに、ここだ!と思いました。NEWVERYの掲げるビジョンや、手がけている事業に強く共感しましたね。それにチームで取り組んでいけることも魅力に感じました。大学を卒業してすぐ店を立ち上げ一人で仕事をしてきたので、組織を知らないという危機感もありましたし、30歳を手前にして誰かに教えてもらったり切磋琢磨しながらやっていかないと、色々な成長や学びの範囲が自分の興味関心の中に留まってしまうなという危機感もあったので、そういう背景もあってジョインしました。

コミュニティとは、個人の力や可能性を引き出したり、増幅してくれるような場所

― 渡部さんにとってコミュニティとはどういうものですか

シンプルに言うと、言わばモビルスーツのようなものですね。

 

―モビルスーツ!?もう少し具体的に言うと、どういうことでしょうか?

例えば自分がボードゲームカフェをやっていた頃は、その空間の中で「店長」という肩書きがあることによって、店長としての振る舞いが出来るようになると思うんですね。つまりその空間が自分に「店長」という名前をつけてくれて、その名前があるからこそ可能になる振る舞いだったり、人との接し方があると思います。

なのでコミュニティとは何かというと、自分の変身ツールでもあり、ある意味で自分を強化してくれるようなモビルスーツみたいな役割があるのではないかと思います。コミュニティづくりに魅力を感じるところは、自分一人だけでは発揮できないような個人の力や可能性を引き出してくれたり増幅してくれるような場所を作ることができるということです。

 

― 実際にチェルシーハウスに住む学生たちと出会ってどう感じましたか?

いやー、未来の塊だなと。うわーっと。不安定さというか、何も決まっていない良さがいいなと思いました。但し4月に入社し、この2ヶ月くらいを過ごすなかで、はじめの印象は落ち着いてきてもう少し大学生、寮生という括りではなく個人として彼らを見れるようになってきましたね。

 

―チェルシーハウス にはどのような学生たちが集まっていると思いますか

個々人が何かしらそれぞれの課題だったり、アクションを起こさないと、という想いをもっているというか。ただ単に何となく大学生やっています、みたいな人はいないと思います。しっかりとここの場所を選んで、暮らすことを決めて、こういうことを学びたいというものを考えないと出会わない場所だと思うので。それが凄いなと。度合いの差はあっても、欲望や渇望みたいなものを抱えているんじゃないですかね。

学生が安心して学生でいられる場所を作りたい

―そのような若者たちが集まっている場所として、チェルシーハウスは彼らにどのような価値を提供できると思いますか

大学生の期間って重要だと思います。というのも、月並ですが子供と大人の間の期間で、子供じゃないけど、大人にならなくても良い期間だと思うので。

 

―たしかに。社会的な責任を自分一人で全て背負いきらないといけないという時期ではない。とはいえ、社会的なことを何も考えずになんでもやって良いわけでもないという中途半端な時期ですね。

そうですね。その中途半端な時期ってとても大事だと思います。いまの社会の中には、より早く就活やインターンを始めたほうが良いという雰囲気があって、学生である期間をネガティブに捉える風潮もあると思います。でも個人的には大学時代には大人になりきらなくても良い時間の良さがあると思っていて。

だから学生がしっかり学生できるというか、そういう時間を与えてあげたいと思います。学生が安心して学生でいられる場所を作りたいです。またそのような「学生時代」というものが持つ社会的意義をしっかりと発信していきたいと思いますね。

 

―なるほど。確かに最近は「○○しなきゃいけない」というように学生時代に求められることは増えてきているかもしれませんね。「学生が安心して学生する」ということは、つまりどういうことでしょうか。

まず学生が安心して学生できないということは、大人とか、未来が求める人物像に自分を嵌めていっている感じかな。大学時代はもっと自由に嵌りたい形を見つけたり、自分で嵌る形を創ったりしても良い時間だと思います。

むしろせっかく時間があるのだから、徹底的に悩んでほしいと思います。自分の興味に向き合って、邁進していって欲しいと思うし、チェルシーハウスはそういう場所になって欲しいなと思います。

自分は何に幸せを感じるのかをしっかりと知らないと、どこにも進めないのかもしれない

チェルシーハウスのテーマは「自己責任」だと思います。私が考える自己責任というのは巷で言われているような、あなたのことなんて知らない、自己責任でしょ?というような個人を突き放すような意味ではなくて、なんでも自分の責任の範囲内で決めていっていいという意味合いです。そのような自由を担保するものとして、責任というものがあると思います。しっかりと自由には責任が伴うんだという事を考えて学生時代を過ごしてほしいなと思います。

中途半端に自分の人生に責任を取りたくないと思って、親や社会のせいにするのではなく、自分の人生の判断に対して責任をもとうと腹をくくって、「どういう結果になったとしても自分が納得できればいい」と思えたら、あとは自由ですよね。年収とか社会的な肩書きとか、人の目はもう関係なくなるので。自由だからこそ気付ける責任もあると思うので、そういうことに気付く期間にしてやりたい事を徹底的にしてもらえればなと思います。

 

―そのように自分の人生に対して、自由と責任を意識することでどのような人生を生きていけると思いますか

うーん、自分らしく生きていくための指針ができると思います。

 

―そのような生き方がなぜいま重要だと思いますか

それは今の社会には正解がないからです。皆が同じ方向を向いている時代はもう終わっていて、それぞれが個人としてどこに向かうのかを考える時に、結局立ち還ることが出来る場所というのが自分自身しかいないという時代だと思います。だからこそ自分というものをしっかりもっていないと、どの方向に行ったとしても不幸せかもしれない。自分は何に幸せを感じるのかをしっかりと知らないと、どこにも進めないのかもしれないなと思います。

協調性を保ちながら自分の居場所を見つける力が必要。チェルシーハウスという場所はそのような力が鍛えられる場所

―自分らしく生きるために、寮生が自分らしさと向き合い続けていくなかで、チェルシーハウス というコミュニティが個々人の寮生に対してどのような価値を提供できると思いますか

そうですね、まずチェルシーハウスには入寮審査が設けられています。これによって将来に対する何らかの想いを持っている学生たちが集まっているので、住むという環境のなかで切磋琢磨できると思います。あとは運営に関わっているNEWVERYの大人たちも皆コミュニティが大好きな人たちなので(笑)、そういう大人と関わって一緒に勉強していける空間だと思います。

 

―確かに。運営側の関わり方もコミュニティの雰囲気に大きく関わってきますね。これからどのような人たちがチェルシーハウスに集まって欲しいですか

そうですね、どんな状況でも楽しめる人たちが集まって欲しいと思います。地球上のどんなところに立たされたとしても、その状況自体を楽しめるというか、良い意味で適当さを持ち合わせているような人たちが集まると良いなと思います。

恐らくこれからの社会はそのような人たちが求められている時代だと思うので。協調性を保ちながら自分の居場所を見つける力が必要だと思っていて、チェルシーハウスという場所はそのような力が鍛えられる場所だと思っています。

 

―最後に、チェルシーハウス というコミュニティとして何かやっていきたいことはありますか

チェルシーハウスというコミュニティとして何かやりたいですね。寮生から「チェルシーハウスというコミュニティはこういう場所だよね」とコミュニティとしての価値をコミュニティの外に向けて発信していって欲しいし、他のコミュニティも巻き込んだイベントなどの機会も作っていきたいなと思います。

-なるほど。まさにコミュニティとして一丸となってなにかやっていくための「人」「場所」「時間」というリソースが全てそろっているところですからね。本日はありがとうございました!

(インタビュー&記事執筆:川原麻亜耶)

注1:チェルシーハウス の運営団体であるNPO法人NEWVERY


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